危険なドナルドトランプの移民政策、アメリカ留学生の不安とは?

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(写真:https://www.donaldjtrump.com)

2016年10月9日はアメリカにとって歴史的な日となりました。

2015年の秋に1年に渡るアメリカ大統領選挙戦が始まり、20人を超える立候補が挙がってから、異色の存在とされていたのは共和党のドナルドトランプ。一切の政治経験がないというだけではなく、暴言を繰り返し、度々注目を集めてきました。

アイオワ州は一番初めにコーカスが始まる州ということもあって、アメリカ大統領選はとても身近なものでした。世論は彼が大統領になることはないだろうと言った雰囲気が強く、私自身も彼が大統領になるとは想像もしていませんでした。

何人もの友人は「もしも彼が大統領になることがあったら、私は日本にでも移住するよ」なんて言っていたほどです。

選挙戦が進むにつれ、有力候補が次々を脱落し、共和党の代表として残ったのは驚くべきことにドナルドトランプでした。これだけでも非常に驚くべきことでしたが、それでも世論は、「ヒラリー優勢」という姿勢を持ち続けます。開票が始まる前までは、、、

最終的には、民主党のヒラリークリントンも打ち負かし、ドナルドトランプがアメリカ合衆国の大統領になるということが決まってしまいました。

個人的には非常に残念な結果となりましたが、彼が大統領になると決まった今、過去を悔いても仕方がありません。

アメリカへの留学生にどんな影響を及ぼすのか考えてみましょう。

メキシコとの国境に大きな壁を作る、イスラム教を全て追い出す、など強硬な移民政策の態度を打ち出していますが、これらの移民政策は少なからず留学生にも影響を及ぼすことが予想されます。

法的にも、言語的にも立場の弱い留学生は、迫害の対象になる可能性が高く、注意深くこれからのアメリカ政治が向かう方向をみていく必要があります。

最悪の場合によっては留学先の国を変更する必要があるかもしれません。

トランプが民衆の支持を集めた方法とは?

私が恐ろしいと感じるのは、トランプの支持を集めた方法です。

明確な政策を打ち出す代わりに、彼は論点のすり替えを行い、ある一定の対象の攻撃を続けることで支持を集めていきました。

リーマンショックから続く、経済的な停滞、雇用率の低下、イスラム教テロリストに対しての外交政策などに対する人々の不満を煽り、その不満の解決方法をメキシコ人、イスラム教に向けることで支持を集めました。

これは第二次世界大戦中のアドルフヒトラーと重なります。軍事的に独裁者になったナポレオンや、ローマとは違い、彼は民主主義から独裁者となりました。

人々は経済的な停滞、政治的な不満をユダヤ人に向けることを解決策としたヒトラーを支持したのです。

独裁者を防ぐための強力な仕組みがアメリカにはあるため、独裁者が生まれるということは可能性が低いですが、それでもマイノリティへの差別は広がっていくと予想します。

留学生もそのマイノリティのうちの一人です。

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留学生に対する3つの不安

学費の上昇

州内の生徒に対する学費がどうなるかどうかはわかりませんが、留学生に対する学費は上がることはあっても下がることは確実にないでしょう。

留学生に対する奨学金の割合も削られるはずです。

数年のうちに留学に対する学費はますます上がっていきます。

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人種差別の拡大

人種のサラダボウルと言われ、世界の中でも他人種に対しての理解が深い国ではありますが、トランプの発言には危機感を感じるところがあります。

トランプが直接的に攻撃をしているのはメキシコ人であり、今のところアジア人はあまり話題には上がってはいません。ただし、メキシコ人に対して強硬な移民政策を取るようになれば、その影響は私たち日本人にも関わってくるでしょう。

理由は2つあります。

  • 人々の態度が排他的になる
  • 多様性が下がることで他の人種に対する人々の理解が下がる

人々の態度が排他的になる

トランプはアメリカで起こっている問題を移民に擦りつけることで、支持を集めてきました。

移民が原因だと考えることで、移民に対する敵対心が強まるでしょう。

これが続くようであれば、留学生へのプレッシャーも高まっていくはずです。

多様性が下がることで他の人種に対する人々の理解が下がる

日本を例に挙げて見てみましょう。

日本は島国であり、200年の鎖国を続けていただけあって、人口に占める日本人の割合が非常に高いです。

学校でのいじめ、雇用機会の不平等など差別の問題は度々取り上げられますが、これらは人々の理解の薄いことが原因です。

他の人種との関わる機会が少ないため、知らず知らずのうちに差別をするようになってしまうのです。

これは極端な例ですが、同じことがアメリカでも起こることが予想されます。

ラテン系移民の割合が下がることで、他の人種に対する人々の理解も同じように下がり、それが間接的に人種差別につながります。

学生・就労ビザの発行が難しくなる

ビザの発行が直接的に留学生に影響してくるところでしょうか。

移民の増加がアメリカでは大きな問題となっているため、学生ビザの発行条件は年々厳しくなっています。

移民に対して強硬な姿勢を示しているトランプが大統領になることで、その傾向はますます強くなってくるでしょう。

就労ビザでも同じことです。これからトランプ政権は雇用率をあげるために、移民の雇用を減らし、アメリカ人の雇用を増やそうとします。

就労ビザの発行条件を厳しくすることで、企業は外国人を雇う代わりに現地のアメリカ人を雇用するようになるからです。

もしも卒業後にアメリカでの就職を考えているのであれば、そんな向かい風にも負けない、企業にとって魅力的な存在になる必要があるでしょう。

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まとめ

私は今いるコミュニティカレッジをもう一年で卒業するため、卒業まではアメリカに滞在しますが、今後はどうなるのか正直わかりません。

彼の政策によっては、日本の大学、もしくはヨーロッパの大学への編入を考える必要が出てきます。

単位の移行が不安材料ですが、それはまた別の記事で。

とんでもない方向にアメリカ、そして世界が進まないようにただただ願うばかりです。