1年前、親戚も知り合いもいない場所に、右も左も分からない高卒18歳が降り立ちました。
ただネット上の大学ランキングで上位に上がっていたコミュニティカレッジの中で、学費が比較的安かったというのが、現在の大学に進学を決めた理由です。
出願時やVISAの申請のときに、とんでもなく職員の対応が適当だったため、、本当にその大学は存在するのか、両親にひどく心配されたほどでした。
それでも無事に合格通知が届き、飛行機を予約して、アイオワへと飛び立つことになります。
使った飛行機は8人乗りの超小型機、ついた空港は1日に三本しか飛行機を出していないという、ちっぽけな空港でした。
空港を降りてすぐだというのに周りは一面とうもろこし畑に囲まれています。(それ以外は何もありません。)
右も左も分からないまま、Middle of nowhere(周りに何もないことから多くの人がそう呼びます。)に放り出されました。
そして、今日でそんな手探りで進めてきた留学も丸一年が経ちます。
この一年を振り返り、これからアイオワ州に留学をする後輩のためにメリットとデメリットを挙げていきます。
メリット
留学費用が安い
アイオワ州は他の州に比べて圧倒的に授業料が安いです。
加えて、Iowa State UniversityやUniversity of Iowaなどは州立大学なのにもかかわらず(州立大学は州の税金で運営されているため、税金を支払っていない留学生には基本的に奨学金は出ません)、留学生向けに奨学金も用意されています。
これには理由があります。
カリフォルニア、ニューヨークなどは世界各国から多くの学生が留学をしたいと考えているので、値段を高くしても留学生を確保することができます。
その一方で中西部に位置していて、大都市でもないアイオワは人種の多様性が他の州に比べてかなり低いです。簡単に言うと大都市に比べ、やることが少なく、退屈だから留学生が少ないということです。
現地の学生を確保するにあたって多様性は重要な項目の一つであるため、大学もなんとかして留学生を確保したいと考えていて、その手段として奨学金を用意しています。
そのことには別の記事で詳しくまとめました。
留学費用を抑えることができるというのはアイオワ州に留学するとても大きなメリットの一つになります。
日本人が少なく、ネイティブに囲まれて英語を学ぶことができる
アイオワ州は日本人の割合がアメリカ内でも特に低い州のうちの一つです。
田舎に行ければ行くほどその傾向があります。
日本人の有無には良いところと悪いところもありますが、英語を勉強するということに限っては絶好の場所といえるでしょう。
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多くのアウトドアのアクティビティをすることができる
日本ではなかなかすることのできない経験をこの夏休みの間にすることができました。
ニューヨークやロサンゼルスでザ・アメリカを満喫するのも一つ、なかなかできない珍しい経験を田舎でするのもまた留学の一つです。
Roofingと言って屋根の張りを剥がしていく仕事をしたり、牛の池で泳いだり、数え切れないくらいのキャンプファイヤーをしたり、馬に乗って草原を駆け抜けたり、話し始めたらきりがありません。
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正直に言って、一生のうちで一番楽しい夏休みを過ごすことができました。
ですがこれらは基本的に夏休みの気温が高いときにできることで、多くの留学生にとって、夏休みは日本に帰り、気温が著しく下がる冬にはアウトドアのアクティビティもできないのでこの通りではないかもしれません。
治安がいい
アイオワ州は何もないところですが、そのことから生まれる利点もあります。
人が密集する地域は基本的に治安があまり良くなく、人口が減ると治安がいいということがあります。
スラム街だったりというのは大都市の裏路地にあるというのはよく聞く話ですよね?
一方、アイオワ州では言ってはいけない場所、というのは聞いたことがありません。基本的にどこにでも行くことができますし、深夜にキャンパス内を出歩いていても何も起こりません。(アメリカのある大学では夜間に出歩くときにはボディガードの付き添いが必要というところもあるくらいです。)
治安の良し悪しは親御さんにとっても非常に心配される点の一つですので、治安がいいというのは多くな利点の一つでしょう。
デメリット
周りには何もない
大学があって人が住んでいる以上、何もないということありません。
そうとわかっていても何もないかのように見えてしまうのです。
アイオワ州の大きな産業のひとつが農業です。平らで広大な土地を利用してとうもろこし畑があちらかしこに広がっています。
私は東京から来たため、その環境の変化になれるのには苦労しました。
上にもあげたように楽しいことはいくつもあるのですが、そこまでたどり着くのに時間がかかります。
友達ができたころには冬になっていて、アウトドアのアクティビティを楽しむ前に外に出ることができないほど寒くなっています。
夏には日本に帰るでしょうし、それらができるのは帰国前、帰国後のほんの少しの期間しかないと思います。
パーティが多く、ドラックや性的暴行の危険性が高い
多くの学生にとっても日々が退屈だというのは同じようです。
スポーツやアウトドアアクティビティのできる夏ならともかく、気温が著しく下がる冬には外に出ることもできないため、特にやることがありません。
そこで学生が行うのがパーティです。アルコールの入手は日本よりも厳しく、必ずIDの表示を求められるのですが、21歳以上の友人に頼んでしまえば問題ありません。
ホームパーティが毎週のようにどこかに行われています。
私も何度か参加したことがありますが、ただバカになって騒ぐだけというような感じで、英語のできなかった私は楽しむことができませんでした。
加えて、飲酒はドラックや性的暴行など他の違法行為への入り口です。
Weedと呼ばれるマリファナはパーティなんかでは簡単に目にするでしょう。私も見たことがあります。(友人は靴の中に常に入れて持ち歩いていました。)
留学はともかく、人生を台無しにし兼ねないので注意が必要です。
まあアイオワに限らず、アメリカどこでもドラックの危険はあるんですけどね。
こんな記事を発見しました。
日本人の発音に慣れていない
(追記:2016/09/19 思い返したことがあったので追記しました)
留学をし始めた当初、友達を作るのにとても苦労しました。相手の言っていることをなかなか理解できず、それでいて私の言いたいことも伝わりませんでした。
もちろん私の英語が至らなかったのが大きな原因の一つですが、思い返してみるともう一つ理由がありました。
上にも述べたように多様性の低いアイオワ州(ネブラスカ、アーカンサー、サウスダコタなど他の田舎の州も含む)はその多様性の低さから異なる発音を耳にする機会が少ないです。
街で普通に暮らしている分には海外から来た人と会話をする機会はほぼないと言ってもいいでしょう。
人種のサラダボウルと言われるアメリカではとても珍しいことです。
もちろん日本人も少ないため、現地の人は日本人の発音に慣れていないのです。
初対面の人と話すとき、時々とても緊張した顔をされることがあります。それは人種差別をしているとか、話したくないとかではなく、ただ単に聞きなれない発音で戸惑っているだけなのですが、そのような顔をされた側としては、心配になってしまいます。
そのことに気づくまでには少し、不安が伴うでしょう。
まとめ
結論から言うとアイオワ州に留学することは成功であったと言えます。
人それぞれ留学の目的はあると思います。私の場合はアメリカで英語とスペイン語を使えるようになり、学位を取得することです。それが「国際連合で途上国の教育のために働く」という私の夢に必要なことだからです。
そこまでの道のりとして海外進学を選びましたが、まずカリフォルニアなどの学費では渡米以前に留学費用が足りませんでした。
そのため、どんな場所であろうとも留学することができたというだけで私にとっては大きな価値になります。
人それぞれ留学の形はありますが、もしもアイオワ州への留学があなたの夢に沿うのであれば、来る価値のあるところです。
インディアナ州のDePauw Universityというリベラルアーツカレッジでコンピュータサイエンスを専攻。現在はIndianapolisのITコンサルティング会社でSoftware Engineerとしてウェブ開発の仕事をしている。