半年間アメリカで生活をしてきて、自分が現地人でないことの弊害をいくつも感じてきました。法律的・金銭的・言語・文化・血縁関係において他のアメリカ人学生が持っているものを私は持っておらず、私は社会的に弱い立場にいます。
日本で社会的強者であったというつもりは全くありませんが、日本に生活している限り日本人であるということは上にあげた全てにおいて気付かないところで利益を享受しています。
アメリカに来て二つの環境を比較することでそれらのことに初めて気が付きました。
留学生の4つの弱さ
1. 法律的な弱さ
アメリカでは留学生に対しては法的に制約がついています。例えば必要単位数を取得できなければアメリカに滞在することができませんし、未成年飲酒などで捕まればアメリカ人以上の大きな問題になります。
その一方でどちらも現地の学生にとっては留学生ほどの問題にはなりません。
アルバイトに対しての規制が多いのもこちらに来てから強く感じたことです。学外でバイトができないのはもちろんのこと、週に20時間という条件が付いています。
2. 言語的な弱さ
アメリカに来て生活するということは自分の第一言語でない英語で生活することになります。人によって英語の得意不得意はあっても誰しもがこの壁を経験するはずです。
コーチが何かの連絡について話をしてもそれが理解できなかったり、何かトラブルに巻き込まれても意思の主張ができないなんていうことが多々あります。
言葉ができない以上情報的弱者とならざるを得ません。
3. 血縁関係がないことの弱さ
アメリカ人は当然のことながらアメリカに家があります。週末には気軽に家族の元に帰ることができ、何かがあれば彼らを頼ることができます。
親からもらった車で通学している友人がたくさんいます。
私も日本に家族がいて、電話で話をして精神的に助けられることもあります。ですが直接的に何か利益を享受できないことから社会的弱者の一つの要因としました。
4. マイノリティーであることの弱さ
私はほとんど人種差別にあったことはありませんが、実際に人種差別があるという話はよく聞きます。
黒人の友人が肌の色のせいでアルバイトを断られたという話も聞きました。日本人とアメリカ人、就職のときにどちらかとなったらアメリカ人が採用されるのではないかと思います。
もしかしたら私も気づいていないだけで何かを陰で言われているかもしれません。
社会的弱者であることの2つの強み
1. 弱い者の立場が分かる
日本にいる外国籍の人
私の学校には何人か日本以外の国で生まれて日本に移住してきたという学生がいました。
彼らは日本語を何の問題もなく流暢に話すことができていたので彼らの社会的立場からくる苦労など考えもしたことがありませんでした。
ですが実際にアメリカの日本人が少ない地域で数的弱者になってみると彼らがどのような苦労をしてきたのか想像がつきます。
マイノリティーであることの弱さを知った今であれば私は彼らにもっと助けを差し伸べることができるでしょう。
国籍だけではない社会的弱者の要因
社会的に弱いものである立場の人は国籍だけによるものではありません。
障がいを持っていたり、年をとって体に不自由を持っている人も同じことです。学校を転校して新しい環境に入った生徒なんかも不安と緊張で一時的に弱い立場にいるはずです。
そのような社会的に弱い立場にいる人たちのことを考えることができるようになります。
2. 人を頼ることができる
何を言っているんだと思われるかもしれませんが意外に他人を頼ることって難しいことだと思います。プライドが邪魔をして他人の助けを素直に受け取ることができません。
でもアメリカに来て、社会的弱者の立場に立ってみると、いかに自分が弱い存在であるのかがわかります。
どんなに日本で成功していて尊敬を集めた存在であってもアメリカの大学に入ってしまえばただの一学生です。(私が成功していたわけではありません。笑)
一人で何かしようとしても何もできないことに気がつくはずです。
例えばたったスーパーに買い物に行きたいと思っても誰か車を持っている人に頼まなければいけません。知らないことばかりで聞いてばかりです。
私が言いたいのは全てを他人任せにするということではありません。
誰かが助けを差し伸べてくれたら、必要に応じてそれを受け取り、素直に「ありがとう」という心からの気持ちを伝えるという一見単純でとても大事なことができるようになるはずです。
まとめ
留学して感じた社会的弱者であることの2つの利点について話を進めてきました。
- 弱い者の立場を理解することができる
- 人を頼ることができる
社会的弱者であるということは一見するとマイナスにしか見えません。ですが私は何か困難があるとそれは全て自分の成長のためになるのだと信じ、いつもプラスの面を見るようにしています。
インディアナ州のDePauw Universityというリベラルアーツカレッジでコンピュータサイエンスを専攻。現在はIndianapolisのITコンサルティング会社でSoftware Engineerとしてウェブ開発の仕事をしている。